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令和6年度「公民連携に取り組む企業・団体への学生取材」 学生が企業へ取材しました!

名古屋市では、地域の抱える社会課題を解決するために、さまざまな取り組みを行っています。行政だけでは解決できない社会課題も多く、企業や団体と「包括連携協定」を結ぶことで、ともに社会課題解決に向けて取り組んできました。

企業や団体と名古屋市が、それぞれの強みを活かすことで生まれる効果について、未来の担い手である若い世代に知ってもらうために、学生のみなさんが包括連携締結企業・団体を取材して、若者の目線で発信する事業を令和4年度より実施しています。
8月9日には、取材に備えるための事前勉強会を開催しました。参加者した学生のみなさんは、インタビューのコツなどを学びました。
事前勉強会の様子は、以前の記事でご紹介しています。そちらもご覧ください。
▶▶事前勉強会の様子はこちら

その後、8月下旬から9月上旬にかけて、参加学生は5つのグループに分かれ、包括連携協定を締結している6つ※の企業に対して名古屋市の社会課題解決の取り組みについて取材しました。
※株式会社中日ドラゴンズと株式会社ナゴヤドームは合同で実施。

取材前には、オンラインでのミーティングを実施しました。各企業からいただいた資料を参照しながら、どんな質問をしようか意見を出し合う場です。本事業のコーディネーターであるプロのコピーライターも同席し、学生へのアドバイスもしました。グループ内で方針を確認できたことで、安心して取材に臨めたのではないでしょうか。

中日ドラゴンズとナゴヤドームの多彩な取り組み

1つ目のグループは、株式会社中日ドラゴンズ株式会社ナゴヤドームを取材しました。

名古屋市に住むみなさんはよくご存知の、地元のプロ野球チームとその拠点となる球場をそれぞれ管理・運営する企業です。取材はバンテリンドーム ナゴヤ内の会議室で行われました。お話を聞く前に、ドームの中をご案内いただき、なんとグラウンドにも入ることができました。普段は足を踏み入れるのが難しい場所に立ち、一層貴重な機会となりました。

取材では、各社の担当者様から、名古屋市との取り組みについて詳しくご紹介いただきました。取り組みの内容は、実に多岐にわたるものです。具体的には、子ども連れや妊娠中の方が優先入場できる「こどもファスト・トラック」や、中日ドラゴンズの選手による各種啓発活動など、多数の実績があります。さらに、今後の取り組みについても聞かせていただきました。プロ野球の試合と紐付けた印象とは異なる、企業としての姿を知ることができました。


地域の開発に寄り添う東邦ガスのチャレンジ

2つ目のグループが取材したのは、東邦ガス株式会社です。

名古屋市港区の「みなとアクルス」にあるエネルギーセンターで取材を行いました。エネルギーセンター周辺には商業施設やスポーツ施設などがそろっており、この「みなとアクルス」に関わる取り組みこそが、今回の取材のメインテーマです。現在も進行している中川運河沿いの広大なエリアの開発についてお話しいただきました。

「水と緑、人と夢。未来を描くスマートタウン、みなとアクルス。」というコンセプトのもと、環境への配慮、災害対策などに力を入れた、持続可能なまちづくりが進められています。
「みなとアクルス」は東邦ガスの工場跡地の再開発事業であり、地元への恩返し、さらには地域が抱える課題を解決するスマートタウンとして、プロジェクトを開始したそうです。平常時だけでなく、災害時のエネルギー供給の仕組みづくり、防災や環境に関する講座の企画など、まちの開発からエリアマネジメントまで一貫して取り組んできました。まちづくりにおいて企業がどのような役割を果たせるのか理解することができました。


保険事業の専門性を活かした地域へのサポート

3つ目のグループは、三井住友海上火災保険株式会社を訪問しました。

三井住友海上火災保険は、損害保険事業を中心に、幅広い事業を展開しています。包括連携事業の担当者様から、事業内容や働き方についてのご説明もあり、学生のみなさんの保険事業への理解も深まったようです。取材を通して、「保険業界への印象が変わった」と話す人もいました。

今回の取材で主にお話しいただいたのは、BCP(事業継続計画)についてです。事業者は、自然災害や感染症の流行などが起きた際に、どのように事業を継続するかあらかじめ計画しておく必要があります。三井住友海上火災保険は、福祉事業者向けにBCP策定をサポートする講座を開催してきました。保険事業の専門性を活かして、地域の人たちの非常時への備えに貢献する取り組みです。学生のみなさんにとって、BCPは聞き慣れない単語でしたが、社会課題解決の重要なキーワードをひとつ知ることができました。


フードドライブ事業への情熱に触れる

4つ目の企業は、株式会社バローホールディングスです。

東海圏で多数のスーパーマーケットを営むバローホールディングスが取り組んでいるのは、店舗へのフードドライブポストの設置です。余っている食品を回収してフードロスを削減すると同時に、地域の子ども食堂などに提供することで、子どもたちがおなかいっぱい食べられる社会の実現を目指しています。

「フードドライブポストのお客様への認知を高め、親しみを持って協力していただくためにどうすればいいか」と試行錯誤を重ねています。担当者様からは、事業内容だけでなく、子どもたちの未来への思いもたくさん聞かせていただきました。学生さんたちからは、それぞれ教育や食品ロスに関心を持ち、日頃から身近に感じるバローホールディングスについてもっと知りたいという声もあがり、各々の興味も踏まえつつ、多角的な視点で取り組みを深掘りすることができました。


脱炭素社会に貢献する名古屋銀行のカーボンオフセット

最後のグループは、株式会社名古屋銀行を取材しました。

名古屋銀行の包括連携協定に基づく取り組みは「地産地消カーボンオフセット型私募債」の発行です。一般的に「カーボンクレジット」とも呼ばれる、温室効果ガスの排出削減量を売り買いできる仕組みを運用しています。名古屋市に根ざし、自治体や企業とのネットワークを有する、名古屋銀行の強みを発揮できる社会課題解決の方法です。

取材では、担当者様より、名古屋市との包括連携協定締結までの経緯や、カーボンクレジットの仕組みなどについて、詳細なご紹介をいただきました。取り組みを進め上でどのようなやり取りがなされているのか、リアルなエピソードを聞くことができました。「脱炭素」「カーボンオフセット」といった言葉を耳にする機会は、近年ますます増えています。社会で大きく取り沙汰されている話題の裏側で、誰がどんな行動を起こしているのか、具体的なイメージをつかむことができました。


令和6年度は、以上の6つの企業を取材しました。

どのグループも積極的に質問を投げかけることができました。一方的に情報を得るだけでなく、自分自身の興味関心に沿って一歩踏み込んだお話を聞けるのは取材の醍醐味です。初めて聞く話から、社会課題に対して視野を広げられた人も多かったように感じます。

取材の後は、グループごとに取材した取り組みを紹介する記事を作成します。最終的にどんな冊子が出来上がるのか、どうぞお楽しみに!